車06明るいところから暗いところに急に移動すると、最初は暗くて何も見えませんが、徐々に目が慣れてきて周囲の風景がはっきりと見えるようになります。これを専門用語で「暗順応」といいます。これとは反対に、暗いところから明るいところに移動すると、最初はまぶしくてよく見えないものの、しだいに周囲が見えるようになるのが「明順応」です。
このようなしくみは、目のなかにある視細胞とよばれる細胞の種類が、周囲の環境にあわせて自動的に切り替わることによるものです。より具体的は、視細胞のなかにあるロドプシンとよばれる物質が、明るいところでは分解され、暗いところでは逆に合成されるということによって起こる現象です。その際、ロドプシンの分解は数十秒程度という短い時間で終わりますが、合成のほうは数十分程度の長い時間がかかることがわかっています。
このようなことから、明るい昼間に車を運転している最中に、突然暗いトンネル内に入るような場合には、目が慣れずに路上の障害物の発見が遅れ、交通事故を引き起こすというおそれもあり得ますので、特に注意が必要とされています。
もっとも、トンネル内の照明は色やまぶしさが通常の道路照明とは大きく異なっていることが多いですが、これはトンネル内外の明るさの差を緩和する目的で設計されているもので、事故防止のための配慮といえます。